春の七草(4):ハコベ

春の七草(4):ハコベ

はこべら(繁縷)→  はこべ(繁縷、蘩蔞)

ハコベ(繁縷、蘩蔞)とは、ナデシコ科ハコベ属Stellaria)の植物。「ハコベ」は一般にはコハコベとミドリハコベを総称していう。単にハコベというときはコハコベのことを指す場合もある。コハコベは越年草。別名、ハコベラ、アサシラゲなどともよばれる

なお、ハコベ類の分類には混乱が指摘されているほか、Stellaria media (L.) Vill.S. neglecta Weiheの二種に対応する和名がハコベとミドリハコベとするものとコハコベとミドリハコベとするものがあるなど問題が指摘されている

はこべら」として春の七草のひとつになっている。名の由来は、日本最古の本草書『本草和名』(918年)に、波久部良(はくべら)として登場しており、これが転訛したものと考えられているが、ハクベラの語源についてはわかっていない。市販されている七草は一般にコハコベである。コハコベが日本に入ってきたのは明治時代といわれている。2000年にコハコベは帰化植物とする研究者の見解が地方紙に出されるなど生産農家に混乱が広がったが、コハコベが江戸時代以前に生育していた可能性も指摘されている。ミドリハコベはもともと日本に生育していた種とされ、春の七草はミドリハコベとする文献もある

生け垣のわき、道端、畑などに自生し、春に茎の先や葉腋に白い5花弁を開くが、花弁の先が2つに深く切れ込んでいるため10弁に見える。全草に葉緑素(クロロフィル)を含み、昔から食用植物として知られ、春の若い茎葉を茹でてお浸しなどにして食べたり、小鳥の餌としても馴染みがある。全体に緑色のミドリハコベと、茎が暗紫色を帯びて小型のコハコベともに薬用植物としても知られ、花期の茎葉を干し上げたものは生薬となり、繁縷(はんろう、ハコベ)と称している。繁縷を粉末にして同量の塩と混ぜたものは「ハコベ塩」といい、歯槽膿漏防止に役立つ歯磨き粉代わりに利用された

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